国公私立を問わず、入試方式は多様化しています。日程の違いだけでなく、入試方式が複数ある上、入試自体も一般入試のほかに、センター入試、推薦入試、 AO入試などさまざまな形態があります。同じ大学を受験するのでも試験方法が複数あるわけです。入試方式を上手に利用するかしないかで、負担はずいぶん違ってきます。また合格、不合格を左右することも少なくありません。入試方式を正しく理解することは、学力をつけること、志望校の選択と合わせて大学合格にとって重要なことです。最近では、学力試験だけでは測れない受験生の個性や学習意欲を積極的に評価する入試方式も導入されています。偏差値や学力だけで志望校を選択するのではなく、入試方式をよく研究し、どのように受験すれば自分に有利になるのか、しっかりと作戦を練りましょう。
国公立大の一般入試で、最初の関門となるのがセンター試験です。多くの大学では原則として5教科7科目を課します。「センター試験では、各大学が教科・科目をあらかじめ指定しているため、自分の志望大学で必要な科目は全て受けておく必要があります。
たとえば国公立大の文科系では外国語、数学(2科目)、国語、理科、地理歴史、公民、また理科系では、外国語、数学(数学IA、IIB)、国語、理科(2科目選択)、地理歴史・公民から1科目選択といういずれも7科目のパターンが主流です。一部の医学部などでは理科3科目を課すところもあります。また、英語のリスニングテストがあるため、センター試験を受験するには幅広い勉強が必要となります。ただし、センター試験は「高校の段階における基礎的な学習の達成度を判定する」のが目的ですので、問題数は多いものの、難問・奇問は出題されません。また、センター試験を利用して受験できる私立大も多くありますので、特別に私立大のための対策を取らなくても、併願することができるのも魅力です。
センター試験を着実にクリアすれば、選択肢がかなり広がります。
2次試験(個別学力検査)は、学部の教育内容に近い教科・科目に絞られ、センター試験よりも内容が高度になっています。理科系では英語、数学、理科から 2〜3教科、文科系では英語、地歴(または数学、公民、国語)から2〜3教科となっている大学が主で、前期日程と後期日程(一部公立大では中期日程)の2 回試験を実施するのが一般的です。とはいっても、純粋に2回受験チャンスがあるわけではありません。前期日程で合格し、入学手続きをすると、後期日程は受験できません。つまり、第一志望は前期日程で受験するのが大原則となります。
後期は前期がダメだったときにすべり止めに受ける試験と考えましょう。多くの大学では前期日程に定員の7〜8割を振り分けてあり、試験内容も2〜3教科の記述問題を中心とした学科試験が一般的です。それに対し、後期日程では学科試験は少なく、小論文や総合問題、面接などを課すパターンが目立ちます。最近では、二次募集的な性格を持つ後期日程を廃止し、そのかわりAO入試や推薦入試を充実させる動きも活発になっています。
国公立大学をめざす受験生は、センター試験と各大学個別の2次試験を受験して合否が決まります。国公立大学の場合、センター試験と2次にあたる個別学力検査の成績を合計して、高い方から合格とする総合選抜方式が主流となっています。このときセンターと2次の配点ウエートが大学・学部によって違います。
たとえばT大学の前期では、センター試験の配点が110点に対し、2次試験はその4倍の440点、K大学前期では250点に対し500点という具合です。つまりT大学などでは、センター試験で9割以上得点しても、2次試験の結果が悪ければ合格できないわけです。難度の高い大学や医学部医学科などでは、2次試験の配点が高い傾向があります。
一方、比較的難度の低い大学や教員養成系では、センター試験が900点で2次試験が200点などという、2次試験よりもセンター試験の方にウエートを置いているケースが多数みられます。国公立大学受験で特に受験生が気をつけなければいけないのは、例えば東京大学や京都大学などの難関大学や医学部系大学ではセンター試験の成績によって制限をする2段階選抜を実施する場合があります。「志願者が定員の5倍を超えた場合、5倍までの受験生で2次試験を実施する」「センター試験800点満点中500点を最低点とする」など2次試験が受けられなくなってしまいます。特に医学科では2段階選抜のハードルが高いので、センター試験では、ミスをいかに減らすかが重要です。数学などは1題当たりの配点が大きいだけに注意が必要です。受けたい大学のセンター試験の配点ウエートや2段階選抜のラインの高さには注意しましょう。
センター試験利用入試は、大学独自の試験は行わず、センター試験の結果と書類審査だけで選考するケースがほとんどです。センター試験さえ受けておけば、何校でも出願できる便利な入試です。地元にいながら全国各地の大学を受験できますし国公立大の志望者にとっては私立大のための受験対策をしなくても容易に併願できるなど、多くのメリットがあります。出願方法は、センター試験の前に出願を締め切るものと試験後に出願できるものとがあります。試験前に出願する方式は、難関校や都市部の人気校などに多いです。まずは前年度の合格最低点をクリアすることが目標となります。試験後に出願できる大学は、自己採点の結果を見ながら出願できるので、目標が立てやすくなります。ただ負担の軽い入試だけに、少ない募集枠に志願者が多く集まり、高倍率になりがちです。また、合格の目安がなかなか読みにくいというデメリットもありますが、積極的に利用する価値はあるので、できるだけ得点をかせいで、選択肢を広げたいものです。
私立大学の一般入試は、2月入試(前期入試)と3月入試(後期入試)に分かれます。さらにそれぞれの中で複数の入試方式を持つ大学が相当数あります。ただし、後期入試は合格者を何名出すかは2月入試の結果次第で、また募集人員も非常に少なく、合格の可能性は非常に読みにくくなります。当然合格が決定していない受験生にとっては最終手段となりますが、受験前から後期入試をあてにすることは控えましょう。
入試科目は、文系では外国語・国語・地歴(公民)か数学の3教科、理系は外国語・数学・理科の3教科が基本的なパターンです。しかし、このほかにもさまざまな入試方法があります。同一の学部・学科で試験日を2〜3日間にわたり設定する「試験日自由選択制」。この方法だと、どの日に受験してもいいので、併願対策が立てやすくなります。全ての試験日を受験できる場合もあります。大学のキャンパス以外にも、全国の主要都市などに試験会場を設ける「地方試験」を行う大学もあります。地元にいながらにして遠方の大学が受験できるので、体力的・金銭的にも負担は軽くてすみます。また、試験科目を少なく設定する、得意科目に重点を置いた配点を行うなどの方式を導入していたり、小論文や総合問題などを課す大学もあります。実に多彩な選抜方式が採られているので、同じ大学・学部を何回も受験するチャンスもあります。選択肢が広いだけに、自分に合った入試方式を見極める目を持つこと、上手にスケジュールを組むことが大切です。第1志望校が決定したら以下のポイントを参考にして私立大学受験のスケジュールをたててみてはいかがでしょうか。
私立大学の併願する場合、どうしても選考料が高くなります。お金のことも考えて経済的な併願計画を立てましょう。また納入金の締め切りにも注意してください。
国立大の推薦入試は公募制です。出願に必要な成績は、全体の評定平均値高校3年1学期までの全科目の評定を合計し、科目数で割った数値4・0以上と、多くの大学高めに設定しています。また、センター試験を課す大学と課さない大学とがあり、課さない大学は人気がとくに高く、高倍率です。なかなか難関ですが、国公立大の90%以上は推薦入試を実施していますし、入学者の約10%は推薦入試の合格者が占めています。推薦条件を満たすことができれば、十分にねらう価値があるといえるでしょう。もし推薦入試に不合格の場合でも、センター試験に出願し、受験すれば一般入試で再びチャレンジできます。
「受験チャンスを増やせる」、「早く進路を決められる」など、メリットが多いのが推薦入試です。とくに現役生は積極的にチャレンジしたいものです。私立大学の推薦入試は大きく分けて指定校制と公募制があります。指定校制は、大学が指定した高校の生徒が対象。成績などの出願基準は高いが、校内での競争に勝ち抜いて出願できれば、ほぼ100%合格となります。公募制は、成績や卒業年次などの基準をクリアし、校長の推薦を受けられれば、どの高校からでも出願できます。指定校推薦に比べて成績基準も緩やかです。選考方法は、書類審査に加え、面接と小論文というケースが一般的ですが、なかには実質的な学科試験を課す大学もあります。このほか、校長の推薦が不要で、自分の実績や能力をアピールする自己推薦、スポーツや資格・技能、部活や生徒会活動などでの実績を評価する特別推薦など、さまざまな推薦入試が行われています。最近では浪人生の出願も可とする大学や、他大学との併願も認める大学もあり、出願条件も緩和されています。ますます受けやすくなっている推薦入試ですが、万が一のことも考えて一般入試対策も怠らないようにしましょう。
評定平均値の算出例
受験生の持つさまざまな能力や可能性を評価するのが目的ですので、選考方法も複雑で、ハードなものが多いです。複数回にわたって行われる選考では、面接、小論文をはじめ、スクーリングの受講や規定のテーマに関するプレゼンテーション、附属校の児童との交流体験試験など、各大学独自のバラエティーに富んだ課題が与えられます。その上でセンター試験を課す大学もあります。一般入試とはまったく異なる準備が必要ですので、安易な気持ちで受けるのは禁物。まずは大学がどんな学生を求めているのかを、募集要項などでしっかりと確認し、理解することが大切となります。
大学によって出願条件、選考基準、選考方法がまったく異なります。出願時期もいろいろで、年間を通じて募集する大学もあります。まずは募集案内やホームページなどでしっかり情報収集をしましょう。選考方法は、書類審査に加え面接・小論文を課すもの、模擬授業やセミナーに参加し、レポートや口頭試問などを課すもの、何度も面接を重ねて人物を評価していくものなど、大学によってさまざまです。基本的には説明会に出席してエントリーを行い、何回かの面談やセミナー受講などを経てから正式出願となるケースがほとんどです。誰でもチャレンジできる入試ではありますが、優秀で大学のカラーに合う人材が求められますので、いい加減な気持ちでは突破できません。まずは自分としっかり向き合い、明確な学習目的と、意欲を持つことが大切です。